若返り可能かSTAP細胞開発小保方さんってどんな人?万能細胞比較
小保方晴子さんってどんな人?
小保方晴子(おぼかたはるこ)さんは理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)に勤務されている研究ユニットリーダー30才
2002年AO入試の1期生として早稲田大学理工学部に入学
応用化学専攻に進学して微生物培養の研究に取り組んだのち
早稲田大学大学院に進学
「再生医療」の分野に飛び込み、東京女子医科大学との医工融合研究教育拠点「TWIns」で新たな教授につき研究に取り組みはじめ
博士課程1年の夏から2年の冬にかけ、米ハーバード大医学部に留学して今回の「万能細胞」開発のきっかけをつかみました。
しかし、最初は周囲の研究者から「間違いだろう」と言われ、昨年には米ネイチャー誌に「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄している」と酷評され掲載を断られるなど散々でした。
それでも諦めずに5年がかりで成果を出した人です。
学位取得からわずか2年での大功績でした。
否定にめげず、実を結ぶ 理研リーダー小保方晴子さん - YouTube
ES細胞・IPS細胞とSTAP細胞の違い
精製法
ES細胞
- 受精卵が胚盤胞と呼ばれる段階にまで発生したところで取り出す
- フィーダー細胞 (feeder cell)と一緒に培養
- 内部細胞塊が増殖
- 内部細胞塊由来の細胞をばらばらにしてフィーダー細胞に植え継ぐ操作を繰り返す
- 「ES細胞株」を樹立する*1
IPS細胞
- 生体から得た細胞を培養
- 分化万能性の獲得に必要な遺伝子を導入
- 細胞をいったん集める
- ES細胞の培養法にしたがい、フィーダー細胞(feede cell)と一緒に培養
- 遺伝子導入された細胞の一部がiPS細胞となる
STAP細胞
体細胞を弱酸性の溶液に、およそ30分漬けて刺激したあと、2~3日培養するだけ*2
メリット
ES細胞
- 遺伝子の強制発現による癌化などのリスクを最小限に抑えることが出来る
- 既にES細胞を用いた多くの研究がされているためデータが豊富にある
IPS細胞
- 患者本人の細胞からiPS細胞が作れる
- 倫理的な問題がない
- 患者本人からiPS細胞を作製すれば移植の拒絶のリスクが殆どない
STAP細胞
デメリット
ES細胞
- 倫理的に難しい*5
- 拒絶反応のリスクがある
IPS細胞
- 癌化のリスクがある*6
- 実験データがほとんどない。
STAP細胞
- ヒトSTAP細胞実験データがまだない
- STAP細胞自体には自己複製能*7を有していないためACTHというホルモンを培養液に加えてやる必要がある
- 2項を行うと増殖を開始するが、この細胞では胎盤などの細胞を作り出す能力が失われる
「STAP細胞」と「iPS細胞」の特徴を比較しました。(14/01/30) - YouTube
まとめ
STAP細胞はES細胞・IPS細胞に比べて簡単に作成できるほか、癌化のリスクもなく、胎盤を含むすべての体細胞に変化できる等全能に見えます。
しかし、ヒトSTAP細胞の研究はまだこれからなので気長に見守る必要があると思います。
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*1:マウスの場合にはLIF (leukemia inhibitory factor) という分化抑制因子を加える。一方、ヒトES細胞株の場合にはLIFは必要ないが、bFGF (basic fibroblast growth factor) が必要になる。
*2:細い管の中で圧迫したり、細胞膜に穴をあけるなど毒素にさらす等のストレスを与えることでも可能
*3:2日程度で作成可能
*4:STAP細胞の状態でFgf4というタンパク質を培地に加えると体の細胞を造る能力が失われ、胎盤や羊膜にしか変化しなくなる
*5:作成するのに胚が必要なためヒトES細胞を作成する際、これから成長して生まれるはずの胎児を早い段階(着床前)で取り出し殺すことになる
*6:作成する際に強制的に幾つかの遺伝子を導入するため、異常な働きが生じる可能性がある
*7:自分と同じ能力を持った細胞を作り出す能力